
長い人生には、時に、辛い状況になってしまうことがありますよね。
自分の意思とは関係なく突然、不幸はやってきます。
病気、事故、失恋、大事な人の死、失業。
人生の災害は突然降ってきます。
いつ来るのかわかりません。
でも、確実に来るのです。

そんな状況になった時、辛さを紛らわせ、レジリエンス(逆境から立ち直る力)を鍛えて、
逆境を乗り越える手助けになるのがこの本です。


【読むべき理由】
何かを失った方が読むと心が軽くなります。
また、家族、友人など親しい人が不幸な状況に陥っている時にかける言葉がわかります。
【記事の信頼性】
2年前、パートナーを失い、昨年は母を失い、
今年はコロナのためのリストラで親しかった同僚とお世話になった大好きな先輩を失った私が、辛さを乗り越えるために一番役に立った本です。
逆境、喪失、失恋を乗り越えたい人必読!『OPTION B(オプションB)』著者 シェリル・サンドバーグさんとアダム・グラントさんてどんな人?

シェリル・サンドバーグさんは、FacebookのCOO(最高執行責任者)です。
その前は、グーグルのオンライン・セールス担当副社長、米財務省首席補佐官を歴任されていて、輝かしい経歴を持った素晴らしい女性経営者で、
前著に『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』があります。
二人のお子さんとカリフォルニア州在住です。

アダム・グラントさんは、ペンシルベニア大学ウォートン校教授、心理学者。
世界的ベストセラーとなった
『ORIGINALS─―誰もが「人と違うこと」ができる時代』
『GIVE & TAKE─―「与える人」こそ成功する時代』の著者です。
意欲や生きがいを見出し、より豊かで創造的な生を送るための研究の第一人者。
アマゾンより
アメリカ心理学会と国立科学財団から業績賞を受賞し、ニューヨーク・タイムズにも論説を寄稿している。
妻と3人の子どもとともにフィラデルフィアに在住
逆境、喪失、失恋を乗り越えたい人必読!『OPTION B(オプションB)』本の基本情報
出版年月日:2017/7/19
出版社: 日経BP
値段:Kindle 880円
値段:単行本 1760円
では一部を要約します。
逆境、喪失、失恋を乗り越えたい人必読!『OPTION B(オプションB)』概要

お話は、シェリルの愛する夫、デーブ・ゴールドバーグが47歳の若さで急死したところから始まります。
デーブは、休暇でメキシコに出かけていた時、ジムでトレーング中、おそらく心臓発作で亡くなったのです。
まだ47歳の若さ、
しかも病気の予兆も何もなく、突然、夫が亡くなるなんてシェリルは思ってもみなかったでしょう。
何をしていても、どこにいても、悲しみはずっとシェリルに付き纏います。
最初の何日、何ヶ月、数ヶ月は常に、
デーブの死を発見した時の「デーブが床に横たわる姿」が頭から離れないのです。
シェリルは、つきまとう悲しみを「部屋の中のゾウ」に例えました。
いつもどっかり居座る、存在感抜群の重たい存在。
それが「部屋の中のゾウ」です。
この本のタイトル「オプションB」とは、
「デーブがいて欲しかった」と弱音を吐いたシェリルに、
「完璧な人生、理想的な人生「オプションA」はもう無理なんだ、だから人生の「オプションB」を使い倒そう」と
励ましてくれた友人フィルの言葉です。
誰もが完璧な人生を送ることはあり得ません。
だからみんな、人生が「オプションB」になった時に、とことん使い倒せるようにしようというのが、
この本に「オプションB」というタイトルをつけたシェリルの意図なのです。
この本は、心理学者の友人、アダム・グラントさんの助言と他の人の事例を混ぜながら、
・悲しみの湖の底から、シェリルがどうやって回復していったのか、
・どのように人は困難を乗り越えるのか、
・レジリエンス(困難に耐える力)に強い人はどんな人か、どのようにすればいいのか
ということが書かれています。
要約①レジリエンスとは?

バラ色だけの人生を送っている人なんて、一人もいません。
生きていれば誰だって苦難に遭遇します。
前もって察知できることもあれば、不意に襲われることもあります。
また、子供や配偶者の死のような悲劇もあれば、恋愛の破局や叶わなかった夢のような苦悩もあります。
悲劇が起こった時に考えることは、
「次にどうするか」
なのです。
「レジリエンス」とは、逆境が起こった時に、どれだけ力強く素早く立ち直れるかを決める力であり
それは自分で鍛えることができるのです。
要約②もう一度息をつく

心理学者のマーティン・セリグマンは、人が失敗や挫折をどのようにして対処法するのかを長年研究し、
「3つのP」
が苦難からの立ち直りを妨げることを明らかにしました。
3つのPとは、
①自責化(Personalization)
②普遍化(Pervasiveness)
③永続化(Permanence)
です。
つまり、
①自責化とは、自分が悪いのだと思ってしまうこと。
②普遍化とは、ある出来事が人生の全ての側面に影響すると思ってしまうこと。
③永続化とは、ある出来事の影響が永遠に続くと思ってしまうこと。
です。
シェリルは、真っ先に「自責化」に陥りました。
「もっと早く見つけていれば救えたかもしれない、食生活を改善し、体に良いものを食べるようもっとうるさく言うべきだった」
などと自分を責めて、気がつくといつも「ごめんなさい」と言っていました。
でも、アダムに指摘されて「ごめんなさい」を禁句にしたのです。
「デーブの主治医が防げなかったのだから、自分に防げたと考えるのは筋違いだ」と考えて、自分を責めるのをやめたのです。
次に、「普遍化」の克服です。
そのために、職場復帰は役にたちました。
仕事をすることで、自分らしくいられる場ができ、
同僚の思いやりのおかげで「人生悪いことばかりじゃない」と思えるようになったのです。
シェリルが一番手こずったのは「永続化」の克服でした。
何をどう頑張っても、押し潰されそうな悲しみが続くと思ってしまったのです。
そこで、「けっして」「ずっと」を禁句にしたのです。
「これからもひどい気分だろう」と思ったら、「時々はひどい気分になるだろう」と置き換えるようにしたのです。
そうしたら、時々は痛みが晴れる瞬間があることに気づくことができました。
例え今はどんなに辛くても、次の晴れ間がくるとわかったのです。
もっと悪いことを想像すると、立ち直りを助けることができます。
シェリルは、「デーブが車にお子さんを載せている時に不整脈を起こしていたかもしれない」とアダムに言われて、気がつきました。
そして、子供たちが元気に暮らしていることに感謝の気持ちが湧いてきました。
この、感謝の気持ちが、悲しみを和らげてくれるのです。
要約③部屋の中のゾウを追い出す

シェリルは、友人たちに「どうしてる?と聞いてもらえなかったことが辛かったのだそうです。
デーブが亡くなった話をみんなしたがらないのです。
そこで、思い切ってFacebookに書き込んだところ、「どんなにか辛かったでしょう」といったメールが次々に舞い込んできて、
彼女は疎外感を和らげることができました。
人は、不幸な出来事に陥った人にかける言葉がないと、つい、その話を避けてしまう傾向があります。
誰もが見て見ぬふりをしている話題=「ゾウ」を避けてしまうです。
がん、病気、経済的な困窮、離婚、失業、レイプ、依存症、
あらゆる困難な出来事が「ゾウ」になってしまい、人々はその話題に触れることができなくなってしまいます。
でも、辛い思いをした人は、語りたいと思っているのです。
大事なことは、聞いてあげること。
その時は、けっして判断せず、相手の気持ちを理解し、そのまま受け止めることです。
私たちは、親しい人が苦しんでいる時は、「手を差し伸べなくては」と考えますが、
その直後に悩みます。
「傷つけることを言ってしまったらどうしよう。」
「嫌なことを思い出させてしまうかも」
そして、「共感」よりも「逃避」を選んでしまって、その話題を避けてしまいます。
苦しんでいる人が発するサインを読み取ってできれば行動しようとシェリルは言います。
「なんでもする」ではなくて、「なんでもいいから行動する」のです。
要約④自分への思いやりと自信

「書くこと」=ジャーナリングは、自分への思いやりを身に着ける最強のツールです。
トラウマについて書いてみましょう。
書くことは、不安や怒りを沈めてくれて、回復を手助けしてくれます。
書くのが苦手な人は、ボイスレコーダーに向かって話しても同じ効果が得られます。
私はTwitterに誰も読めないアカウントを作って投稿していました。
辛い気持ちが押し寄せてきたら、思いついた気持ちを書いて、自分で励ましていました。
半年くらい続けると、もう思い出すこともなくなったのでそのアカウントは消してしまいましたが、その時はとても助けになりました。
まとめ

「オプションB」はシェリルの経験を通して逆境を乗り越える方法を学ぶことができる本です。
悲しみは、波のように打ち寄せますが、必ず引いていくのです。
例え、オプションBであっても、私たちは選択肢がああります。
人生で、オプションBを選ばざるを得なかったとしても、決してめげることなく、オプションBを使い倒しましょう。
悲劇は自分のせいではなく、全てに及ぶわけでもなく、ずっと続くものでもありません。
この本を読んで、少してもレジリエンスが強くなれば、これからの人生に役に立つのではないでしょうか。